私はこのオンライン仏事にはそもそも否定的でした。
一般的な本音を聞きたくて、「オンライン仏事をどう思う?」と、お寺とは関係のない仕事をしている姉と弟に聞きましたが、第一声は「あなたのようなデジタルマニアはもうやってるもんだと思ってたわ。意外すぎ。」と言われました。姉と弟にはオンライン仏事について違和感はあまりなかったようです。
私はこのオンラインについては便利でメリットもある反面、たくさんの副作用も持っていると思っています。だからこそ、その副作用を可能な限り抑え、メリットを享受していくには私たち僧侶側の工夫と研究が必要だと思います。
人間の常識なんてすぐに変わってしまいます。私が高校生の時、お坊さんにならせて頂いた頃から考えるとたくさんのことが変わっていきました。お墓を建てることが当たり前。お葬儀は自宅が当たり前。七日参りは毎週勤めて当たり前。ご法事もたくさん集まって当たり前。
しかし、そのような当たり前も私たちの環境の変化に伴って変わっていきました。もちろん、それらをどうこう言うものではありません。それぞれのおうちの形があり、それが尊重されるべきだと思いますし、多様性に伴って選択肢が増えることは望ましいことだと思います。
だからこそ、私たち僧侶がお仏事を司らせて頂いている以上、手段よりも目的をしっかりと見据えて工夫と研究を行う必要があると思うのです。
私が思うのは2つです。
- お仏事は出来るだけお寺にお参りして頂きたい。しかし、それが叶わないようであればオンラインでも参拝頂き、大切な亡き方が繋いでくださった仏様とのご縁に遇って頂きたい。
- 距離は遠くてもいのちの繋がりを感じて頂きたい。
そしてその上でお伝えしたいのは
ライブとテレビ視聴が違うように、オンラインは代替えではありません。おうちのお仏壇の前にお座り頂くこと、お寺のご本堂にお参り頂くこと、故人の繋がりで集まられた方々と共に過ごす時間、これはかけがえのないものです。今は大変に難しい時ですが、早く人がお集まり頂ける時代に戻ってほしいものです。